開催レポート|鳥取県フットボールカンファレンス2023

2023年1月21日(土)に湯梨浜町のハワイアロハホールで「鳥取県フットボールカンファレンス2023」を開催しました。
2年に1度開催するフットボールカンファレンスは、本来であれば昨年開催する予定でしたがコロナ禍の影響に伴い中止延期となりました。2020年1月以来の開催となり、3回目の開催となりました。
今回は『鳥取から世界へ~ホームグロウン選手の育成を考える~』をテーマにし、県内で活動する指導者、審判員、チーム関係者等を対象として開催し約120名の方々にご参加いただきました。

(開催概要・参加者募集ページはコチラ

開会に先立ち、池田洋二 鳥取県FA会長から「この3年間、コロナ禍のサッカー活動となり多くの指導者の皆さんには感染対策等の取り組みをしていただき心から感謝をしていること、2033年の国民スポーツ大会鳥取大会も一つの契機として引き続きサッカー環境の整備のために一緒にがんばっていきましょう」と挨拶がありました。
続いて、邨上克也 鳥取県FA技術委員長からは、これまでの鳥取県サッカーの歴史や国体での活躍を紹介しながら、「歴史を大切にして積み上げて、10年後の2033年に向けても、このカンファレンスで皆さんとベクトルをあわせながら、選手育成や選手指導の循環について今一度考えていきましょう」と説明がありました。

 

パート1|『これまでの10年と、これからの10年、そして未来の鳥取サッカー 』


登壇 : 吉川 尚男 氏(鳥取県FAコーチ)

2013年から今日までの10年間の鳥取県のサッカーの出来事を簡単に振り返り、日本代表の国際大会や全国大会を県内で開催したこと、フットボールセンターの施設が整備されたこと、鳥取県出身者が選手やコーチとしてワールドカップや世界大会に出場したこと、そしてJリーガーを複数名輩出してきたこと等、決して後退することなく前進してきている鳥取県サッカーであることを説明しました。
「Tottori’s Way2033」の説明では、JFA(日本サッカー協会)が提示しているJapan’s Wayを引用しながらも、鳥取県FAとして育成年代における望まれる選手像についてや、2033年国民スポーツ大会の自県開催を契機として対象選手となるターゲットに向けたトレセンや各種プログラムの計画などについて説明がありました。

[参加者コメント(アンケートより)]
「今までの鳥取の歴史を知ることができました。一つのきっかけが鳥取国体であったことを改めて知ることができ、10年後の鳥取国体でも新たな転換期となるべく頑張っていきたいと思いました。」
「過去から現在、そして10年後の未来に向けてJFAの指針に照らし合わせて、鳥取県の道しるべとなる方向性が知ることができました。」

 

パート2|『 グラスルーツについて考える~鳥取の今と世界のフットボール文化~ 』


パネルディスカッション
登壇 : 木下 桂 氏(プロフェッショナルサッカーコーチ)
登壇 : 大部 由美 氏(鳥取県女子サッカー普及コーディネーター)
登壇 : 横山 卓哉 氏(サッカー1級審判員)
進行 : 山根 卓也 氏(鳥取県FA技術委員会普及部長)

鳥取県FAの選手登録者数の現状、JFAグラスルーツ宣言やダブルピラミッドについて、山根卓也 鳥取県FA普及部長から説明があった後、3名のゲストに登壇していただきパネルディスカッションを行いました。キッズ年代の取り組みでは、巡回活動、スモールサイドゲームの重要性について説明があり、中でもスモールサイドゲームについてアメリカや欧州各国では当然のように行われており、当日の選手レベルや得点差によってもルールを柔軟に変更するなど、参加した選手全員がフットボールを楽しめる環境づくりについて指導者全員が共通認識されている話を木下氏から紹介していただきました。つぎに、女子サッカーの取り組みでは、大部氏からは中学生年代で女子選手の登録者数が減っていることに対し、女子フェスティバルやなでしこひろばの開催を通して女子がサッカーをする機会を増やすとともに、各チームで男子だけではなく女子選手を受け入れて活動をしてほしい旨の説明がありました。そして、サッカー競技を普及拡大していくうえで必要不可欠な審判員の普及については、横山氏から審判委員会のユース審判員やレフェリーアカデミー・レフェリートレセンの取り組みについて紹介があり、自身が中学高校時代にユース審判員として活動していたことが現在につながっているという話から、指導者の皆さんには選手育成だけではなく審判をするきっかけも促してほしいとのお願いもありました。
最後に、改めてダブルピラミッドを図示して普及から始まり、いろんなサッカーとの関わりがあることを共有した上で、指導者として大切にしたいことの提言を御三方からいただき、このパートを閉じました。

[参加者コメント(アンケートより)]
「普段なかなか聞くことのできない観点からの話で新鮮でした。特に、アメリカとの違いは初めて知った視点だったので興味深かったです。」
「鳥取県全体のサッカーファミリーを増やす。保育園からの取り組や、サッカーの楽しさを伝える事の大事さを知ることができました。」

パート3|『 育成指針の成果と課題/トレセン活動等 』 


登壇 : 畑野 伸和 氏(鳥取県FA技術委員会育成部 部長)

育成年代の指導ポイントをまとめた鳥取県FA育成指針を作成提示してから数年が経ち、その成果や改善に関する報告が行われました。育成指針の目的として、選手育成と指導者の意思疎通に主眼が置かれていることについて、選手に関してはトレセンや選抜活動に参加した際に異なる指導者からも同等の指導やアドバイスを受けられることで迷うことなくパフォーマンスが発揮できるといったメリットが生まれていることや、指導者に関しては指針や言語を共通化することで指導者のコーチングが統一されることで活動が活性化されるメリットが生まれていることなど、実際の取り組みも交えながら説明がありました。
また、トレセンリーグやU12チャレンジフェスティバルの鳥取県チームの映像を用いながら鳥取県選手の成果や課題等を説明していました。個人の技術力の向上に向けて指導者が一緒になって前進していき、鳥取の未来をつくっていきましょうとのメッセージでパートを閉じました。

[参加者コメント(アンケートより)]
「具体的、理論的でイメージもしやすく考えさせられる内容でためになりました。」
「個人戦術の大切さ、そしてそれで勝負ができる選手を育成したいと、話を聞きながら強く感じました。」

 

パート4|『 国体チームの活動報告と2033年に向けて 』


登壇 : 永林 昭 氏(鳥取県FA技術委員会強化部 部長)
登壇 : 国体チーム各監督

鳥取県サッカー国体チームの監督3名から、2021年2022年の各カテゴリーの活動報告がありました。特に、少年男子チームについては、2021年の中国ブロック予選の部では初めてとなる優勝を果たしたものの三重国体は中止となり本戦への出場はなりませんでしたが、選手指導者が一丸となって取り組んだ内容やコンセプトの紹介がありました。2022年の活動では、かつて少年男子チームでも活動をした丸谷氏や佐野航大選手(現ファジアーノ岡山)から選手に対して激励や直接アドバイスをもらったことの紹介もありました。
また、本戦出場を果たすだけではなく上位入賞に向けて選手の個人戦術やチーム戦術のレベルを上げていく必要があること、そのために日常の活動や強度が大切であることが説明されました。


最後にホームグロウン選手の育成について永林昭 強化部長から説明がありました。地元出身者の活躍が県民や地域の子どもたちに夢や希望そして感動を与えていくことの大切さ、その選手育成にはかつて選手として活躍した者が育成年代の指導者となって次代の選手に指導をしていく循環づくりも大切であることを伝え、これを県内の皆さんと一緒になって実現したい旨を説明しパートを閉じました。

[参加者コメント(アンケートより)]
「今後も循環型の持続性のあるチーム鳥取を作っていかなければいけないと感じました。」
「国体チームの取り組み、結果内容を踏まえたU-12、U-15世代への取り組みに進むとなお良かったと思います。」

 

パート5|『 ホームグロウン選手の育成を考える 』


トークセッション
登壇 : 丸谷 拓也 氏(元Jリーガー/鳥取県南部町出身)
進行 : 岩﨑 将斗 氏(鳥取県FA2種技術委員/国体少年男子チームコーチ)

高校時代にカテゴリー別日本代表、そしてJリーグでの活躍やACLチャンピオンズリーグ、FIFAクラブワールドカップの出場等の経歴を持つ地元出身の丸谷氏から、サッカーとの出合いから現在に至るまでの内容をトークセッション形式で伝えられました。小学生時代、中学生時代、高校時代、プロサッカー選手時代、それぞれについて当時の同級生や先生方のコメントも紹介しながら、丸谷氏がどのように地元で育ち、国内トップレベルで活躍できたのかを探っていきました。中でも、プロサッカー選手時代に長く過ごしたサンフレッチェ広島での様子を当時のチームメイトやクラブスタッフのインタビュー映像を流しながら丸谷氏のパーソナリティや前向きな姿勢について深掘りしていきました。
丸谷氏は現在、地元南部町でスポーツ指導員としてスポーツやサッカーの指導に携わる立場となられ、地元の子どもたちにスポーツやサッカーの楽しさを伝えておられます。育成年代の指導においては自身が経験したように、子どもたちが自由にサッカーを楽しむ環境を与えつつも、試合中に考えて行動できるように働きかけてあげたり、サッカーをもっと楽しめるようにモチベーションを与えてあげられるような指導を心がけていきたい、と指導者としての意気込みを話されていました。

[参加者コメント(アンケートより)]
「丸谷さん自身、あるいは彼に影響された同世代の方々がサッカーの現場に携わっていることを嬉しく思います。」
「丸谷世代と呼ばれる同級生の方々があれほど多くいることに驚き、吉川FAコーチの話が深く刺さりました。トップ選手として戦ってきた丸谷さんのメンタリティーと、そういう選手ばかりではなく大切にするべき選手たちの存在を知り、改めて指導者観を見つめ直そうと思います。」

 

|担当者コメント


  吉川尚男 鳥取県FAコーチ/ユースダイレクター

「この度の鳥取県フットボールカンファレンスが皆様のご尽力のもと開催できたことに深くお礼申し上げますす。
第3回目となった今回は、ホームグロウン選手の育成を大きなテーマに掲げ、鳥取県出身の元Jリーガーである丸谷拓也氏に登壇していただきトークセッションという形で様々な話を聞かせていただきました。育成年代でどのような努力や取り組みをし、出会った指導者との関わりや周囲のサポートがあり夢をつかんだのかという内容から、ホームグロウン選手の実現可能性を学びました。そして、丸谷世代と呼ばれる同年代の方たちが現在も鳥取県サッカーの中心として活躍していることも紹介していただき、トップレベルの選手の育成だけでなく、教える側、支える側の人財育成もホームグロウンを実現していることを知っていただけました。今後、さらなるダブルピラミッドの実現を目指し第4回目、第5回目と続いていくカンファレンスにしていきたいと思います。これまで鳥取県サッカーを育ててくださった方々、現在鳥取県サッカーに携わってくださっている方々、そして未来の鳥取県サッカーに関わってくださる方々全員で「鳥取から世界へ」の実現に向けて頑張っていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。」

 

■参加者 120名
・指導者
・審判員
・チーム関係者
・保護者
・他スポーツ指導者
・一般参加者

開催概要・参加者募集ページはコチラ